ソニアスタッフの野菜研究家の文章を掲載いたしました。
特定の食品販売を目的にしたものではございません。
真っ赤なトマトの色素は体をリフレッシュさせる成分だ
トマトは運動や紫外線の害を防ぐ夏にピッタリの野菜
肥満予防効果で
注目を集めたトマト
2012年に、スーパーの野菜売り場からトマトが消えてしまったことがありました。それは、京都大学の研究で、トマトに含まれている新たに発見された成分が、肥満を改善する効果があるという報道が、テレビで流されたからでした。新発見の物質で、肥満解消ができるというニュースは、インパクトがあったのでしょう。トマトはたちまち売り切れたというのです。
ダイエットの情報で、食物に関するものでは、たまにこのような騒動が起きます。「バナナ」でもありましたし「リンゴ」でもありました。しかし、それぞれ果物や野菜です。いくらダイエットに有益でも、毎日食べていれば飽きてしまいます。食事は、さまざまの食材を美味しく調理して食べるから人生の喜びになるのです。偏った食生活であれば、食事は苦痛になってしまいますし、健康にもいいわけがありません。
ダイエットの情報には、冷静に対応して欲しいものです。トマトは、さまざまなビタミンやミネラルに富んでいますし、肉や魚に比べれば圧倒的に低カロリーですから、肥満に悩む人たちに有益な野菜であることは間違いありません。
どんな食品でも、その優れた特徴を理解し、毎日の料理に上手に活かすことが大事です。その点、トマトは生で食べても良し、加熱して食べても良しの万能食材ですから、うまく利用すれば、毎日食べても飽きることはないでしょう。
マラソンランナーの
疲労回復に有益なトマト
今年も2月23日に、東京マラソンが大盛況のうちに行われました。この大会で、ランナーたちにトマトが無料で配られています。提供したのは、カゴメ株式会社です。カゴメは2013年の東京マラソンから、ランナーへのトマトの無料配布を行っています。
なぜ、マラソンにトマトなのでしょうか。実は、トマトには運動後の疲労を軽減する働きがあるのです。その研究をご紹介しましょう。
カゴメ株式会社総合研究所と国際医療福祉大学との共同研究です。健康な成人10人に、自転車エルゴメーター(スポーツジムなどに置かれている自転車こぎ用の機器)を使い、心拍数が1分間に130程度になる運動を1時間、前半と後半の2回に分けて行い、その運動の合間にトマトジュースを320ミリリットル飲んだ群と、320ミリリットルの水を飲んだ群に分け、後半の運動直後の疲労感と血液中の乳酸値(運動時に糖の利用が高まることによって増加する物質。乳酸が増えると組織が酸性になり筋肉の疲労の原因となる)を調べました。
その結果、トマトジュースを飲んだ群は、水を飲んだ群に比べて、後半の運動後の疲労感が少なく、乳酸値も低かったのです。
それでは、疲労を軽減したトマトの成分は、どのような物質なのでしょうか。トマトには、疲労回復効果で知られるクエン酸(乳酸の代謝を促進する物質で、レモンや梅にも多く含まれている)や糖が含まれており、これらの働きの可能性もあるので、同じ条件で運動をしてもらい、運動の合間にトマトに含まれている濃度と同じクエン酸と糖を含んだ水溶液を与えた群を別に調べてみました。この群には、疲労軽減効果はみられませんでした。
つまり、トマトの疲労軽減効果をもたらす物質は、クエン酸でも糖でも無いということです。それでは、どのような成分でしょうか。トマトには各種ビタミンやミネラルのほか、リコピンという成分が含まれています。リコピンは、カロテノイドという植物に含まれる赤や黄色の色素の一種で、抗酸化作用が注目されています。
体内では、活性酸素(酸化する力が酸素に比べて格段に強い物質)が常に存在します。健康な状態であれば、活性酸素は、体内に侵入した細菌などの異物を攻撃したりする働きをしているのですが、この活性酸素が、何らかの影響で過剰に発生すると、遺伝子を傷つけたり、体内の脂肪やタンパク質を変性させて、ガンや脳卒中、心臓病などの生活習慣病の原因になるといわれています。活性酸素は、精神的なストレスや喫煙、排気ガス、紫外線などによって増加します。
過剰に体内で発生した活性酸素を減らすためには、リコピンなどの抗酸化作用のある食物成分をとることが有効なのです。リコピンは、抗酸化作用が強いとされているβ-カロテン(体内でビタミンAに変化する物質)に比べて2倍の抗酸化力があるとされています。運動によっても、活性酸素は増えますので、運動後の体へのダメージを減らすのに、リコピンは活躍していることでしょう。
トマトは運動する前に
食べなければ効果なし
これからの季節は、マラソンなどの屋外での運動にふさわしい気候です。ただ気になるのが、紫外線対策でしょう。太陽の申し子のようなトマトですが、実は紫外線によるしわやシミを防ぐ効果もあるのです。リコピンのどのカロテノイドをジュースとして飲めば、皮膚に達したリコピンが、紫外線によって生じた活性酸素を除去し、肌をしわやシミから守ってくれます。
運動の疲れを防ぎ、肌をしわやシミから守ってくれるトマトジュースですが、運動後に飲んでも効果は期待できません。事前に飲むことをくれぐれもお忘れなく。
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